2004年 10月 25日
気になる建築③ 「細っ!」 |
お待たせしました。久しぶりの更新になります。
後にアップしますが、先週の21日~23日、「第47回 建築士会全国大会 和歌山大会」に参加するため、和歌山県に滞在していました。その際に宿泊したホテルの近所にこの建物はあります。
建築士の端くれとして、また気になる建築研究会の主宰として非常に恥ずかしいのですが、発見当時コンベックス(巻尺)を持っておらず正確な採寸はできませんでしたが、隣地の駐車場のコンクリートブロックから推察するに、躯体の外寸間口およそ1600ミリ、芯々では4尺5寸(強)でしょう。このテの設計ではモジュールは無視せざるを得ないので、この表記自体が意味を持たないのかもしれません。
味わいポイントとしては、
①まず、この細さでしょう。入り口のメニューを確認すると、容易に飲食店ということが断定できますが、僕の知る限り飲食店舗では最細(?)ではないでしょうか。否、飲食店に限らずとも最細です。
店舗の場合、不特定多数の人員が利用するという公共性、飲食店では厨房の広さも安全性に反映しますし、何よりも「座れるの?」的な素朴な疑問があります。つまり、「細さ」は「狭さ」であり「安全性」が問われる故、飲食店での利用は困難なのであります。
バスが出発する直前の僅か10分程度の空き時間での取材のためインタビュー等はできませんでしたが、営業中に伺って「ハンバーグ定食(900円)とサイダー(200円)」をオーダーしたかったです。
②当然ですが、座れます。(笑)
僕が飲食店を設計する際には、テーブルの横幅寸法は最低600ミリ/1人を確保するようにしていますが、通路を考慮するとここでは恐らく450ミリ/1人(推定)程度でしょう。で、1テーブル4人用です。二人用で設計すればスペース的に余裕が生じるのでしょうが、キャパを考慮しギリギリの設計だと思われます。4人で座った場合、「オシクラ饅頭」な雰囲気です。
③奥行きは6間ぐらいだと思います。
通常、厨房スペースと客室スペースは(小規模飲食店の場合)およそ50:50(店舗形態、条件にもよる)ぐらいですが、それを考えるとこの奥行きの長さは必要不可欠の長さです。
間口1間半、奥行き(推定)6間のこの建築物の屋根は、奥に流れる片流れで、雨水のほとんどを建物の裏側で集水してます。推し量るに、その雨水は前面道路の側溝までまた同じ距離を運ばれてくるのでしょう。
④最大の味わいポイントですが、よくもこの地形が残っていたものだ、と。間違いなく土地が先にあり、その土地の形状にあわせた設計がなされています。そしてこの土地で飲食店を経営をしようと決意したオーナー様の勇気と心意気、設計を請け負われた設計士、そして施工を請け負った工事会社の努力が無ければ、この名作は生まれていなかったに違いありません。ここには写っていない、人々の様々な葛藤・決意・努力を読み取りながら、存分に味わっていただきたい建築物であります。
建築って、ドラマでもあります。(* ̄ー ̄)フッ
後にアップしますが、先週の21日~23日、「第47回 建築士会全国大会 和歌山大会」に参加するため、和歌山県に滞在していました。その際に宿泊したホテルの近所にこの建物はあります。
建築士の端くれとして、また気になる建築研究会の主宰として非常に恥ずかしいのですが、発見当時コンベックス(巻尺)を持っておらず正確な採寸はできませんでしたが、隣地の駐車場のコンクリートブロックから推察するに、躯体の外寸間口およそ1600ミリ、芯々では4尺5寸(強)でしょう。このテの設計ではモジュールは無視せざるを得ないので、この表記自体が意味を持たないのかもしれません。
味わいポイントとしては、
①まず、この細さでしょう。入り口のメニューを確認すると、容易に飲食店ということが断定できますが、僕の知る限り飲食店舗では最細(?)ではないでしょうか。否、飲食店に限らずとも最細です。
店舗の場合、不特定多数の人員が利用するという公共性、飲食店では厨房の広さも安全性に反映しますし、何よりも「座れるの?」的な素朴な疑問があります。つまり、「細さ」は「狭さ」であり「安全性」が問われる故、飲食店での利用は困難なのであります。
バスが出発する直前の僅か10分程度の空き時間での取材のためインタビュー等はできませんでしたが、営業中に伺って「ハンバーグ定食(900円)とサイダー(200円)」をオーダーしたかったです。
②当然ですが、座れます。(笑)
僕が飲食店を設計する際には、テーブルの横幅寸法は最低600ミリ/1人を確保するようにしていますが、通路を考慮するとここでは恐らく450ミリ/1人(推定)程度でしょう。で、1テーブル4人用です。二人用で設計すればスペース的に余裕が生じるのでしょうが、キャパを考慮しギリギリの設計だと思われます。4人で座った場合、「オシクラ饅頭」な雰囲気です。
③奥行きは6間ぐらいだと思います。
通常、厨房スペースと客室スペースは(小規模飲食店の場合)およそ50:50(店舗形態、条件にもよる)ぐらいですが、それを考えるとこの奥行きの長さは必要不可欠の長さです。
間口1間半、奥行き(推定)6間のこの建築物の屋根は、奥に流れる片流れで、雨水のほとんどを建物の裏側で集水してます。推し量るに、その雨水は前面道路の側溝までまた同じ距離を運ばれてくるのでしょう。
④最大の味わいポイントですが、よくもこの地形が残っていたものだ、と。間違いなく土地が先にあり、その土地の形状にあわせた設計がなされています。そしてこの土地で飲食店を経営をしようと決意したオーナー様の勇気と心意気、設計を請け負われた設計士、そして施工を請け負った工事会社の努力が無ければ、この名作は生まれていなかったに違いありません。ここには写っていない、人々の様々な葛藤・決意・努力を読み取りながら、存分に味わっていただきたい建築物であります。
建築って、ドラマでもあります。(* ̄ー ̄)フッ
by architect_spiral
| 2004-10-25 11:51
| 気になる建築